里山への想い

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「里山を知ってもらいたい」

都会で35年暮らした後、里山で15年。
その間に、里山や自然の力に何度も助けられ、支えられてきたことを実感しました。

化学物質過敏症で、いつもだるくて頭が重かった都会の生活からの変化。
手術の後に何も食べられなかったとき、山羊の乳だけを飲んで体が回復したこと。
お腹が痛いと猫がそっと乗ってマッサージしてくれること(笑)。
ご近所さんの優しさや礼儀、感謝の気持ちに触れること。
一緒に暮らした鶏の肉をさばいて味わうこと。
大切な人たちの死を見送ること。

驚きや感動、悲しみの中で、
食べ物の美味しさに心が満たされたり、
花や空、景色の美しさに心が洗われたり、
虫の羽音に穏やかな気持ちになったり、
農作業で頭の中のもやもやが晴れたり、
一緒に作業した友と食べるご飯が何よりも最高だったり。

そのすべての背景には、里山があります。
鳥の声や虫の音、風や太陽、雲や木々のささやきが、知らず知らずのうちに
守ってくれているのです。

自然は強大な力を持っていますが、里山は人と調和できるようにその力を穏やかにしてくれます。
先人たちの知恵によって、必要なものは身近に配置され、恵みは季節ごとに実りをもたらして
くれます。

里山はこれからどんな時代になっても、人が人として豊かに暮らす基盤を提供してくれます。
しかも、手を加え育てることで、その豊かさを次の世代にさらに引き継ぐこともできるのです。

だからこそ、こんな時代だからこそ、
里山と共に暮らす人が増えてほしい。
その手助けを、民泊などでの体験を通して少しずつ提供していきたいと思っています。

郷子

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2009年、地元の仲間「野良の会」と、一年の終わりにその年にとれたもち米で餅つきをして
それぞれの家の作物で作った大根おろしやあんこや黄な粉などをまぶし、皆で食べているところ。