まったり~村お便り      No.72

2007年4月24日
昨日はとても暖かく、昼間は半そでで過ごせるほどでしたが、また今日は寒くなりました。でも野菜の苗はだんだん健やかに大きくなっています。
先日機会があって、「大江戸えころじー事情」(講談社)という本を書いている、石川英輔氏のお話を聞いてきました。現在日本人は一日一人平均12万5千キロカロリーのエネルギーを消費していて、そのうちの10万キロカローは化石エネルギーということです。どれくらいのエネルギーかというと、氷から解けたばかりの水家庭用浴槽5杯分を加熱して、沸騰させる程度のエネルギーとの事。自分たちで使っていなくても、電車を動かしたり、自分たちの使っている製品、食べ物などを作り運送したりしていることで、社会全体で使っているエネルギーを換算して平均するとそうなるようです。昭和45年は半分の5万、江戸時代は0だったそうです。江戸時代は太陽エネルギーがほとんどだったそうです。現在言われている「リサイクル」も、結局ペットボトルを回収して、溶かして、次の製品にするまでに、あたらしくペットボトルを作るより多くのエネルギーを消費しているそうです。石川氏が持ってきた江戸時代の寺子屋の教科書は、100年以上使われていて、今でもまだきちんと本の状態でした。江戸時代の最大のリサイクルは石川氏に言わせると「稲作」だそうです。人々が毎日米を食べ、そこで排泄物を出し、それを畑や田んぼに還元してまた米や野菜を作ります。江戸は人口が多かった為、下肥の一番の生産地で、下肥買いが来ていたそうです。現在の糞尿は下水汚泥として化石燃料を燃やして灰にして捨てているそうです。また米を収穫した後の藁は炊きつけなどに使ってその灰を染物や紙漉き、繭の塊を溶かすなど需要が多く、灰買いが盛んだったそうです。また藁草履は茶屋で売られていて、旅人がそこで新品を購入すると、古い草履は茶屋の横の決まった場所に捨てておきます。そうすると近くの農民がそこから回収して田畑へしきこみ、また藁が出来たら草履を作って販売します。現在は人体の3分の2は石油エネルギーで出来ているといわれていました。米や野菜を育てるのに耕運機やトラクターを使い、化学肥料を使ってる。江戸時代は太陽エネルギーで育った穀物や野菜で人が動き、人が穀物や野菜を作っていた。江戸時代に戻る必要は無いが、足るを知っていればもっと違った意味で豊になるのでは?と提唱していました。人力で物事を進めるのは結構大変で気が遠くなりますが、シンプルなシステムがあれば、当たり前のようにリサイクルって出来るのかもしれないなあと思いました。
 
さて、今回のお野菜は、


人参、長ネギ、赤ねぎ、葱坊主、菜の花、ブロッコリー、キャベツ、春にら、原木椎茸、三つ葉、春菊、のびる、あさつき、筍(糠つき)、おまけはハウス野菜セット(あおみ菜・小カブ)(赤丸20日大根、白雪20日大根、山東菜、ふだん草)です。今日は残念なニュースですが、まったり~村の一押し原木椎茸が、ようやく立派に大きくなって、量も採れ始めてきたところに、日曜日の夜見に行くと、総ざらいでなくなっていました。山菜を採りに観光客が押し寄せていますが、毎年色々な畑で作物が盗まれるそうです。自然に親しむ人達が、どうしてそういうことをするのか考えると、育てる喜びとか、そこまでにする手間を知らないのかなあと思いました。でも私たちも、自分たちが育てていないたくさんの自然の恵みで助けられているので、思えばギブアンドテイクなのかとも考えますが、やはり「次の出荷は立派なのを出せるぞ」と楽しみにしてしまっていた分悲しいです。しかしながら、知ってか知らずか、近所の方が「筍掘りに来てくれ」と筍を収穫できたので、糠と一緒にお送りします。お湯に糠と唐辛子を入れて、1時間ほどゆでてあく抜きをしてください。葱坊主は、食べられるとは驚きでしたが、天ぷらや炒め物にすると特有のほろ苦さが楽しめると共に、栄養に富んでいて風邪予防や整腸に良いそうです。しっかり火を通した方が甘くなります。うちでは人参、椎茸、油揚げと炒めて、みりんと醤油で味付けました。のびるは根をとって、生で味噌で食べたり、軽くゆでて酢味噌(味噌、砂糖、酢、みりん、辛子)をつけて食べると美味しかったです。あさつきは薬味として、またおひたしも良いそうです。ハウス野菜セットは、冬に採れる野菜があまりにも限られている為、農薬を使った野菜よりは多少はましかと、彩りと実験を兼ねて多少抵抗がありましたが、ハウスで作りました。数日の暖かさでぐんと成長しましたが、露地栽培(外で育てること)をしている今までの野菜に比べてどうなのでしょう?是非比べて召し上がってみてください。冬場は寒さのため野菜が限られていたので、少しでも違う物があるとつい入れてしまうのですが、まだ量があまり採れていないので、わずかづつで恐縮ですが里美村の春の恵みを召し上がってみてください。では皆様も、お体にお気をつけてお過ごし下さい。