あっ!!!という間に、なんと師走。春先、出荷できずに花開いてしまったブロッコリーや夏の見て美しいけれど収量が少ない紫の茄子などが夢の中のようです。種まきは10月で終わり、今は畑の片付けや芋などの収穫したものを保存しておく穴堀、秋の恵みで保存食を作ったりと、精神的にはゆっくりとして、暮らしの方に時間を費やせるこのごろです。
先週末は久しぶりに実家へ帰りました。「国際有機農業映画祭」というものが27日、28日とあり、27日は出荷の準備をしてから高速バスで東京へ行きました。東京へ着いて思ったのは「暑い!!」多量のエネルギーを使っているからでしょうか?町中暑くて、こちらの寒さと言うか冷たさに日常接している私は厚手の靴下やレッグウォーマー、腹巻、などなどすべて脱ぎ捨てて(というかかばんに詰め込んで)小学生の健康優良児のごとく半そでで過ごしていました。動かないし冷たいものにも触れないし、朝食べたおにぎりがエネルギーとして活躍する場所がなく、昼も食べずに平気でした。27日は4本の映画と新規就農者のトーク、28日は8本の映画と海外からのゲストによるシンポジウムです。1日中座りっぱなしでお尻と目が痛くなりました。しかしながら、以前お世話になった方たちや東京での友人たち、里美からの仲間などとその場で会えたりして、休み時間はその人たちと話すのに忙しく、楽しくにぎやかでした。映画で印象に残ったものは沢山あります。ほとんどすべての映画から色々なことを受け取りました。「アボン 小さな家」という映画では、フィリピンの都会と田舎の様子が描かれていますが、植物を収穫する時、「命をいただきますね、恩を借りますね」と言ってお祈りしてからいただきます。木を切るときは「大いなる木よ、若き××(名前)が家を建てるためにあなたをください。大いなる木に宿る沢山の命たちよ、無事逃げられて、新たな場所でどうぞ無事にお過ごしください。××のためにお願いします。恩を借ります」とお祈りしてきります。一番好きだった「水になった村」では徳山ダムにより村を出されて都会に住むことになるおばあちゃんおじいちゃんに焦点が当たった映画ですが、「山があれば人は生きていける。都会では金が無くては生きていけないが、金は限りがあってなくなる一方だ。山をなくした俺はご先祖様の宝を食いつぶしたごく潰しだ」と自分を責めて言うことばと、その言葉の付箋のように張り巡らされた、映像の数々に圧倒されました。70歳過ぎのおばあちゃんが急な山道をへいちゃらで登って山の恵みを収穫し、小さいものはまた戻しておく姿。木から薬を作るようす。家におかれている沢山の山の恵みの保存食。自分の家がユンボで壊されていく中、泣きながら風に吹かれながら、漬物場の大きな樽から、漬けた白菜をバケツに移しているばあちゃんの姿。山の中ではいろんなことを教えてくれる偉大なる尊敬すべきばあちゃん達が、ダムの助成金で建てられた都会のこぎれいな住宅地に移され、スーパーで買い物をし、小銭を出すのに時間がかかる様子や、20年も住んでいるのに「ここは俺のいえじゃねえ、旅館のようなものだ。仮の住まいだ」と言う言葉、また、ぼけてしまって自分の家がまだあると信じている様子など、変化していくさまなどを観て、感動と言うか悔しさと言うか、よくわからないけれど胸を締め付けられました。
新規就農者3人のトークでは、「安全・安心な食料のためだけに有機農業を始めたわけではない」という人が3人中3人。その人たちは、社会の中での人とのつながりをとりもどしたい、それによりよりよい社会につながって行けば。という思いからと皆言っていました。私自身は、石油を争っての戦争や、単一食物ばかりを作らせて自国の自給自足を崩壊させておきながら価格を操り貧困を生み出すシステムなど、結局は便利な生活をして知らぬ間に多くの人がそれらに加担してしまうようになっている社会がいやで、自分達それぞれが自立することで問題解決に少しでも近づくのではないかという願望からはじめたような気がしています。ほかにも色々あったと思いますが。しかしながらはじめて3年が経つ今、3人の方達が言っていた「人とのつながり」を強く感じています。 映画の翌日、野菜のお客様だった方が美容室をやっていて、その方の所へ髪を切ってもらいに伺ったのですが、普通の街中にある一軒の美容室なのにも関わらず、お店を出た時はとっても暖かい、英語で言うとHomeとでもいうのでしょうか、嬉しさと気持ちよさに包まれていました。
茨城へ帰ると、置手紙で「6時から赤門邸(借りている古民家)でしし鍋。」とあり、近くに住んでいる仲間と昨日もらったイノシシの頭でしし鍋を行うとのこと。10人くらいで囲炉裏で鍋を囲んで、皆が作ったつけものやら人参ジュースやらで新米を食べて、別に何をしゃべったでもなく盛り上がったでもないのですが、なんか、幸せだなあ、と感じました。でも、人とのつながりはなにも田舎や農家に限らず、実はどこにだって
その扉は開いているのだと思います。伺った美容院でも、お客様が赤飯炊いたからと言って持ってきたり、また、お客さんと一緒にお昼ご飯を食べたりしているそうです。実家は東京ですが、いろんな頂き物であふれていました。また、「0から作ることの価値」を田舎暮らしに感じていましたが、その美容室でも手作り歯磨き粉、洗顔剤、クリームなどなどを手作りのラベルを貼っておいてあったり、実家でも姉が洋服作りに凝っていて、作っては色々な人にあげています。手作りの世の中、作り手の顔が見える世の中っていうのはとっても暖かいんじゃないかな、と思っています。それらの材料が「0から」ではなく、実は昔の人が守ってきた「自然から作る」というのが食べ物作りなのでしょうか。
先週暗いお便りを書いてしまったので、おわびがてら続きの手作り日記をどうぞ!
「ヤギ解体の翌々日、小腸でソーセージをつくりました!肉として食べづらい筋とか皮の部分をひき肉にして、にんにくと塩コショウ、砂糖少々と、タイム、ローズマリー、オレガノ、卵白(塩コショウと砂糖以外は全部まったり~村産!!)を入れて混ぜ、ロートの先っぽにつけた小腸に入れていきます。入れ終わったら、半分にねじって、その後3cmくらいづつにねじって交差させていきます。終わったら少し薫蒸し、75℃で30分茹でて終了。夜7時から始めて終わったのは真夜中12時。29本のソーセージが出来ました。1本を2人で試しに食べてみました。んん??というような不思議な固さでしたが、味は◎。1週間しか持たないということなので、冷凍して、12月の友人の送別会にもって行く予定です。楽しむのが一番の成仏です!!」
ロートで上から押し出しています。
ねじってぶら下げたところ
75度で加熱
いただきま~す!
● 本日のお野菜
★ 白菜 漬物、鍋、おひたしなども。虫に食われたところをむいたらミニ白菜になりました・・・。
★ 人参 肥料を押さえることで、だんだんまったり~村の野菜は薬のような味になってきたような気がします。
★ 大根 宮重大根です。生食が適しているようですが、漬物、煮物にも。
★ カブ かぶを抜く時に白い丸いかわいい姿が見えるととても楽しいです。
★ カリフラワー 今年は間に合わないかと思いきや、知らぬ間に大きくなっていました。よくみると白いとんがりがあって冠みたいです。
★ パラロッサ ラディキオ トレビスとも言います。ほろ苦さと甘みのある菊科の野菜です。サラダや付け合せに。この寒さで苦さが強いかもしれませんが、美しいので入れてしまいました。ドレッシングなどとあえると苦さもちょうどよくなりますよ。
★ キャベツ 遅れて丸まる品種でホルシュシュタイナープラッターといいます。合鴨堆肥がきいたのかな。
★ ちりめんわさび菜 熱湯をかけてから塩で揉むとピリッと辛いお漬物に。サラダにもどうぞ。
★ クレソン サラダにちょっと。または茹でて。
※今年は暖冬ということで、1月いっぱいくらいまではお野菜は出せるのではないかと思います。白菜、たけのこ白菜、じゃが芋、カブ、大根、人参、キャベツ(丸まらないものは来春かも)、ちびサトイモ、紫さつまなど(その他おまけの何か)になるかと思います。年末鶏肉(部位別に分けて1羽単位)や餅も販売します。よろしくお願いいたします。