まったり~村を目指した訳(村長編)

私が、なぜ有畜複合有機農業に興味を持ち、また、それを生業としてやっていきたいかと考えたのは
遡って考えて見ると、海外に居た事がきっかけになりました、今思うとサンフランシスコにいた頃です
その頃、リムジンのアルバイトをして学費を稼ぎながら、短大に行っていました
リムジンの仕事は、日本系企業のお偉いさんの送迎や、日本から海外の産業を視察しに来る人のエスコート
又は観光でした、ある日、日本のマーケット関係の人たちがオーガニックフードを扱っている店を見に行きたいと言う
仕事をしました。その時、サンフランシスコでも高級マーケットには、ぽつぽつとオーガニックという名前の付いた商品を
見るようになりました。また、オーガニック製品に力を入れた、ちょっと中級上のクラスをターゲットにしたスーパーも
出てきました。アメリカでは普通のスーパーもそうですが日本の様に一個一個ラッピングをしている野菜はありません
それにも驚いたのですが、今度は農薬を使わない野菜や添加物等を使わない加工食品専門の食料品店が
出てきたのです。 オーガニックに興味を持ち色々調べてみると
サンフランシスコは、ヒッピー発祥の地とも言われている所ですが
その、1970年代からオーガニック系の店を開いているスーパーが2件ほどあったのです
それを知り、行ってみたら、結構な大きさで、置いてある物は全てオーガニックと言うか、環境にやさしい物
食料品、ワイン、キッチン用品、油、洗剤、文房具など、食料品はほとんどが計り売りです、自分で袋や瓶を
持って行き、そこに例えば塩とか米など入れて自分で目方を量って値段を書き込んでレジに持って行くのです
レジには、入れてくれる袋はありません、自分で袋を持って行くか、使用済みのダンボールとかで持って行くのです
これは、使い捨てのビニール袋による資源とエネルギーの節約の為また、ゴミの削減の為です
客層も多様で、ヒッピー風からセレブ系まで色々でした。その様な所から興味を持ち始めました。
また、その頃、アウトドアにもはまり、一時期はキャンプや釣りに毎週行っていました。
しかしまた驚いたのは、釣りをするにも、現在では日本でも釣り券とかを買わなくてはいけませんが
カリフォルニアでは、釣りに行くときには、必ず釣り許可証を買わなくてはいけません、アワビやロブスターは
また別な許可証を買わなければいけないのです、一日に捕る量やサイズも決まっています。それを監視する、パークレンジャー隊員もいます
国立公園も多くあり、必ずパークレンジャーがいて公園を管理しています。何か、日本と自然に対しての考え方が違うと思いました。
また、アメリカに住んでいて、日本の文化、自然により興味を持ちました。というより、知らなすぎる自分を知りました
日本の伝統文化の事を聞かれても、何一つ正確に答えられないのです。また、他の国の人は、愛国心があるが
私を含めて、日本人には愛国心が欠陥しているように見えました。

また、短大卒業後、オフィスのデザインする会社に就職し、しばらくサンフランシスコで働いており、後ドイツに転勤になり、よりいっそう環境に関して関心を持つようになりました
まず、資源のリサイクルが徹底している事、街のコーナーに瓶、カン、新聞紙、燃えるゴミ、燃えないゴミと区別してあるコンテナがあり
そこに入れて行くのです、瓶に関しては色別に分別します。食料品店の袋は全て有料。
物は大事に使い、親からの家具などを引き継いで使っている。
24時間営業のコンビニなど無い、日曜日には飲食店以外のお店はほとんど休みになり、電車に自電車が乗せられる様になっていて
それで郊外まで行き、家族、友達、夫婦でサイクリングを楽しみ、ビールを飲む。また、仕事が終ったら家に帰る前に、
スーツのまま靴を履き替え、森を散策している人がたくさんいるのには驚きました。
何か、のんびりとしているのです。ゆとりを感じるのです。また、老夫婦が仲良く手をつないで散歩し、サイクリングしているのを見ると
何かが違うと思うようになりました。
どうしても忘れられない光景があるのです、ライン川沿いを自転車でサイクリングをしていて休憩してた時
目の前で、親子が川べりで焚き火をしてました、子供は多分5歳くらいでした
父親が木のくべ方や、火の始末の仕方を教えていたのです。小学校にも行かない子供にです
それも、真剣にです
日本でも、昔はあったかも知れませんが、しかし、何か人間本来の姿を見たような気がしたのです

いつの間にか、いつかは林業か農業をやろうと思うようになっていたのです。
それで、ドイツの後またLAに転勤になり、日本に転勤になりました
日本に来て最初に感じたのが、電車に乗って、何か皆楽しそうでなく、目がドロンとしているように見えました
駅では、タバコやゴミをそこらにポイポイ捨てて、酔っ払い、所かまわず酔いつぶれている人たち
また、道や林にゴミが目立ちました。何か、すごくモラルが低い人種に見えたのは事実です。
何かが違うと言う意識の中、すっきりせず生活していました。
その気持ちが強くなり、会社を退社しました。
しかし、漠然とし農業系の仕事をしたいと言う気持ち、自給自足をしたいと言う気持ちはありましたが
完全なビジョンは出来上がってませんでした
それで、以前から知っていたWWOOFというシステムを使い一年間色々な所を回ろうと決めました。
WWOOFとは、「労働力」と「食事、宿泊場所」の交換で金銭のやり取りはありません。
ようは、朝、昼、晩の食事と寝る場所が与えられます。その代わりにおよそ6時間程度の作業をします。
と言うシステムです。

その頃は、農場兼キャンプ場を作り実際にお客さんに、収穫等の農作業を経験して貰う事ができればいいなと考え
キャンプ場の運営はどのようになってるのかと、栃木県の南那須にある(那須いなか村オートキャンプ場)に
5月の連休にWWOOFしました。ちょうど一年で一番忙しかった時で、大変でしたが
思ったのは、今の人のキャンプは、家にいる時の延長上しかないと言う事でした。特にこの時期に来る人は多いです
バンガローに炊飯器や、テレビを持ってきたり、夜中まで人の迷惑を考えず飲んで騒いだり
自然を楽しむと言う考え方から、かけ離れているように見えました。
薪や炭の火の起こし方を知らなかったりと、生ゴミを流さないでと言ってるのに流す人、
一番絶句したのは、ゴミです。分別しない人も結構いて、ガスボンベ等穴を開けずに捨てる人、軍手や鍋を一回しか使ってないのに捨てる人
アルミ缶とスチール缶の区別がつかない人
これらの行動は、もうすでにゴミや排水溝から先は自分は関係ないと言う人が多いわけです
こっちは、排水は池に流れ込むようになって、池で自然浄化する仕組みだったので、掃除はしなければいけ無い
燃えるゴミは燃やしてたので、ビニールは取らなくてはいけない、ガスボンベが入ってたら爆発するので注意しなければいけないと。
この経験を踏まえ、キャンプ場をやるのなら鶏や豚を飼っといて、生ゴミはお客さんが動物に食べさせ
その、卵や、鶏を絞めて食べて貰う、
排水も、池に行きご飯粒程度のゴミは鯉や鴨に食べて貰い、細かい浄化は水生植物により浄化させる
このシステムをキャンプ場内に作り、お客さんに目で見て体験して貰い
忘れ去られた、循環のシステムを再認識して貰おうと考えました。

それから一週間くらい間を置き、再度(那須いなか村オートキャンプ場)に行きました
今回は、ログバンガロー作りです。ここのキャンプ場は10棟くらい建っていて
全て、ここのオーナーが作った物です、それを聞いて自給自足には家も作れければと、今度作るときは是非教えて下さいと頼んでおいたら
以外に早く声がかかったのです。
作ったバンガローはロフト付きのバンガローです、ロフトと言ってもほとんど2階建ての様ですが
8畳くらいの大きさです。工法はログ工法と在来工法の混ざった様な感じです
まず、初めにログで使う木を切り倒す所から始まりです。長さと太さが合う木を切り出し、皮を剥きます
本来なら冬の水の上らない時期に切って寝かしておくのですが、今回は6月でしたが時間の関係切って直ぐ使いました
それから、独立基礎の為の穴を掘り、その中に畑で拾った石を入れ付いて固めてそこに直径30cmの塩ビ管と鉄筋を入れ
自分でコンクリートを手練し塩ビ管の中に流し込みます。固まらないうちに土台を留める為のアンカーボルトを入れてならしておきます
固まるのに2~3日時間がかかるので、その間に木のパレット、良く工場とかでフォークリフトで荷物を運ぶ為の木の台です
あれを、土台と外壁に使うためばらして釘を抜く作業です。この様にある物を有効に使うと言うのは感動でした
それから、コンクリートが乾いたら土台を付け、根太を流し、床板を貼りました。
根太もパレットのばらした物です、床材は自分の所の木を製材所で挽いた物です
その上にログハウスを作るように木を井桁に積み上げていき腰上くらいの所で柱を建て壁板を貼って行きます。
壁板は先ほどばらしたパレットを使いました。サッシもいれて、勿論中古のサッシです。
柱の上に梁を乗せてまた床材を引きその上に井桁にまた木を積んで行き屋根をかけ終了です
今回は、どうしても屋根の部分にドーマを付けたかったので、頼んで付けさせてもらいました
誰もが初めてのドーマでしたので、皆で夜遅くまで組み立て方や、水周りの収め方をあーでもない、こーでもないと話合ってました。
ログハウスは4人で約1ヶ月で完成しました。とても面白く勉強になりました
また結構、家とは簡単にできる物だなと思いました、また、そこにある材料でも工夫すれば出来るのだと実感しました。

この後は、岩手の自然農園ウリシパモシリでお世話になりました。この農園はパーマカルチャーデザインを取り入れ、
農園内で出来るだけ循環させる環境を作り出し有畜複合農業を無農薬で行ってる所です。
(続く)